日清のCMが話題を呼んでいる。
現代のSNS時代は、非寛容な時代と言えます。挑戦すれば、揶揄される。失敗すれば、叩かれる。このままでは、みんながちぢこまり、だれも挑戦しなくなってしまう。でもそこで大切なのは「自分の声」を聞く勇気。そして、私たちに必要なのは、相手の失敗を許容するという態度、寛容の精神だと思います。
非寛容な時代を逆手に取り、攻めに転じる姿勢から私達が学ぶべきことは多い。
傷つくことを恐れるあまり、無難な言葉でガードを固める人を見ると、その弱さを感じてしまって不憫になる。その臆病さを軽蔑することさえある。
人の心に爪痕を残したいのなら、ちょっと賭けに出ないといけない。
そんな想いを胸に、ホモの花見に行ってきました。
ブス友が1人いるだけで、あとは知らないホモが30人。
今回は静かなホモが多いらしい。
人は、自分にないものを求める。
決めた。今日はターゲットを絞って勝負を仕掛けることにしよう。
今回のペルソナは静かなイケメンホモ。28歳。若い頃は遊び歩いた頃もあったけど、年齢とともに心も股も落ち着き始めている。歳も歳だし、今更また昔みたいにってわけにはいかないけど、最近少し物足りなさを感じている。「元気で面白い人と一緒にいると、こっちまで楽しくなっちゃうんだよな。明るいところに連れ出してくれる気がしてさ。俺、一緒に居て楽しい人が好きなんだ。」
すでに競合は少ないことが分かってるし、自社の強みも活かせる市場。わたしが幸せを掴むにはもうこのフィールドしかない。
ということで、元気いっぱい頑張りましたよ。
天気はあいにくの曇り空だったけど、私の明るさでみんなの心が少しでも晴れわたればいいなぁって。ペルソナ君を明るいところに連れていってあげたいなぁって。あわよくば暗いところにも連れ出しちゃおうかななんつって。
すっごい喋った。もう過呼吸より過呼吸なんじゃないかってくらい。私があの空間の酸素のほとんどを頂戴してんじゃないかしらって感じだった。JUJU歌えって急に言われたときだって間髪入れずにこの夜を止めてよって健気に歌いきった。
初対面の人にでも伝わる分かりやすいトークを目指して喋り倒しましたとも。
周りがホモにありがちな閉鎖的な内弁慶トーク*1を繰り広げる中、わたし、全力で、それはもう必死に、わかりやすい笑いを追及しましたよ。だって、ペルソナ君が明るくて面白い人が好きだって言ってたから。
山崎春のペニパン祭り♪ってブス友と声揃って歌えたときとか盛り上がりのピークだったね。俺が唐突に山崎春の~♪って歌いだしたら、ブス友すごい反射神経で最後ハモったからね。一瞬で名曲作った瞬間だったね。宇多田ヒカルの新曲とか余裕で潰せんじゃない?って思った。
で、歌い終わって一人でひとしきりゲラゲラ笑ってたら、周囲から人っ子一人いなくなってた。
私の周りの人々気づいたら大移動してた。ゲルマン人なのかな?
いや、薄々は感じてたよ? ここは恋愛戦国時代!わたしは上様!男に飢え様!とか言ってたら、目の前に座ってた若いホモが「この席きついわぁ~」とか言い残して去っていった背中とかちゃんとガッツリ見てたよ?
でもね、みんなに愛されるのなんて無理だから。わたし、ペルソナくんに愛してもらえればそれでいいからって自分に言い聞かせて健気に生きてきたんですけど、その引き換えに得たものがこの孤独だっていうの?
なんなの?ちょっとペルソナくん出てきて!先生怒らないから!ペルソナくんは手をあげて!!お客様の中に、ペルソナくんはいらっしゃいませんかー!!
半泣きの私が必死にペルソナくん探してたら、心優しい幹事がフォロー入れに来てくれたんだよね。
「今日の参加者達、ゲイバーとか全然行かない人達だからさぁ~。」
え?
わたしはただ、ペルソナくんの期待にこたえようと努力していただけなんだけど?別にここで出張ゲイバーとか開こうとしてるわけじゃないんですけど?ていうか私もゲイバーとか滅多に行きませんけど?そもそも遅咲きで初めてホモと会ってからまだ一年ちょっとのシンデレラですけど?
そういえばさっき、もしかしたらこの人がペルソナくんかな?って思ってた人から唐突に「どっかゲイバーとかで働いてるんですか?ていうかチーママかなんかですか?」って聞かれたような気がしたんだけど、あれは空耳じゃなかったのかな?
期待に応えようとするその責任感が、仇になることなんてあるの?
だったら私は、SNSなんかよりももっと閉鎖的なこのホモの世界を、どうやって生きていけばいいの?誰か、誰か教えて!
つってブス友のいる方向振り向いたらね、なんか一人でドキドキした顔して座ってんの。
あれ?どうしたの?セクシャルイベント?って思って近づいたら、なんか自分の手が誰かの手に触れててドキドキしてたらしいだよね。
でもね、よく見たらそれ、ただの生温かいスポンジだった。
こいつスポンジの上に手をのせて一人で顔赤らめてた。
このブス友、二次会の掘りごたつでも同じように1人でニヤニヤしながら顔赤らめながら、「誰かの足が触れてる...」って呟いてたんだよね。俺が足元確認してみたらそれも自分の傘だったからね。こいつすげぇなって心底思った。
ブスが幸せな気持ちで生きていくためには、こんな風にして、小さなトキメキをかき集めていくしかないのかな。きっとそう。こんな風にして、自分の心を市場にしてしまえばいいんだ。そうすれば、実在するかどうかも分からないペルソナに一喜一憂することもなくなる。舞台は探すものじゃなくて作るものなんだな。自分の心の中に。
*1:隣の人にだけギリギリ聞こえるくらいの声量でボソボソ喋るトーク術。自信はないがプライドを守りたいときなどに使用される。